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2023.03.25

ハンドメイド作家NOTE

今回は、フィンランドやスウェーデンなど北欧からインスピレーションを受けたカラフルな作品で人気のハンドニットデザイナー・しずく堂さんにお話しを伺いました。
初心者にも編みやすく、日常にフィットするデザインの作品はテレビ番組やご著書、雑誌などでも大人気です。

しずく堂ストア・・・https://shizukudo.stores.jp/
Facebook・・・ https://www.facebook.com/shizukudo.jp
インスタグラム・・・https://www.instagram.com/shizukudo/
Twitter・・・ https://twitter.com/shizukudo
―手芸を始めたきっかけを教えていただけますか?
子供のころ、近所に住んでいた幼馴染の姉妹が、かわいい手作りの洋服を着ていて、うらやましく思ったのがきっかけです。
私の母は洋服を作ってくれることがなかったので、自分で作ろうと思ったんです。
―お裁縫と編み物、どちらが先だったのですか?
たぶん編み物が先かな。あみぐるみのキットを買って、自分でテキストを見ながら編んだのが最初で。何種類かあったけどひとつしか完成しなくて、その後ちゃんと作れたのは母のひざ掛け…ショールだったかな。三角のショールを、手芸屋さんのワゴンセールにあった毛糸を組み合わせて編んで作ったんです。それは今でも実家にいけば残っているんですよ(笑)。
結局自分のものより母のものを編んでいたんです。ベストとかも母のものを編んでいました。
―ご家族に喜ばれることがやりがいにつながったんですね…!
では次に、作家活動を始められたきっかけを教えていただけますか?
会社勤めをするまでは、よく編み物やソーイングをしていました。でも、勤めるようになって作らなくなって。その後年齢を重ねて、仕事が落ち着いてきたタイミングで編み物を再開したんです。それが職場で好評になって、編み物を教えて欲しいと頼まれるようになりました。それから職場の女性陣たちと仕事終わりに集まって、編み物教室を始めたのがきっかけでした。
元々製品図や取扱説明書を作る仕事をしていたので、編み物の説明書を作るのは楽しかったですね。自分で作ったオリジナルのデザインの編み図を作って、ワークショップ形式で編み物教室をしていました。そんなことが発展して編み物のレッスンをするようになりました。オリジナル作品を作って販売するようになったのもその頃だったと思います。
―どちらかというと、ワークショップがメインだったんですね。
ワークショップではどんなものを作っていたんですか?
キーケースや小さなマフラー、シュシュなどを作りました。
作家活動をはじめて6〜7年は、会社で働きつつ裏でワークショップや糸メーカーさんや手芸誌から作品デザインのご依頼を受けていましたが、最初の本を出版した6年ほど前、それまでフルタイムで働いていた仕事をやめました。
―影響を受けた人物や出来事があれば教えてください。
編み物を再開した頃に訪れたフィンランド。手芸店(毛糸店)やマーケットで販売されているかわいらしい作品たちや、マリメッコなどの北欧系の明るいテキスタイルにとても影響を受けました。
地元の富山とフィンランドは似てるんですよ。冬になると暗く雪や雨が多く降ったりと、晴れない日が多いんです。だから太平洋側の冬の青空にびっくりしました。名古屋のヴォーグ学園に講師として通っていた時、冬の青空が不思議で仕方なかったんです。
フィンランドも同じで、冬の曇り空を跳ね返すような明るいテキスタイルや、インテリアを楽しむスタイルがすごく素敵だなと思いました。
―具体的に、フィンランドの影響を受けた作品などはありますか?

最初の本のタイトルが「北欧が好き」なのですが、いろいろなところで影響を受けています。大きい花模様のミトンなどもそうですね。あと、色合わせも北欧のテキスタイルから影響されました。

―どのような時、作品のアイデアが生まれることが多いですか?
デザインなどは、海外で集めたソーイングや刺繍、民族衣装などの洋書をみてイメージを膨らませて、スワッチを編みながら構想をまとめていきます。
でも煮詰まった時には、外出して車を運転したときにアイデアが浮かぶパターンが多いです。
出かける時には必ず、立山連峰の見える川沿いの道を通って街の中心部に行くんですが、その道を10分くらい走っていると、ふっと、アイデアが浮かぶことが多いです。
頭の中だけで考えていても絶対に浮かばないんです。お風呂やトイレ、寝る時、あと電車に乗っている時にアイデアが浮かぶっていう話はよく聞くんですけど、私の場合は車の運転中に良く思いつくことが多いですね。ただ近所のスーパーに行くだけではだめで、ある程度の時間が必要なんです。
たぶん誰にも邪魔されない閉じた環境にいることがいいんじゃないでしょうか。
私の気持ちとしては立山のおかげと言いたいけれど(笑)。
―特にそうやってひらめいた作品などがあれば教えてください。
デザインそのものというよりは、つくりかたのプロセスで色々ひらめいたりします。どうやったら最後無駄なく作れるかとか、一筆書きで編み上がるかとか。
手編み作品のデザインは作り方も含めたデザインなので、その作り方がスマートにいかないと、ただ編みにくいだけになってしまうんです。
特にワークショップの場合、プロセスが悪いとうまく編めないというのを目の前で目にしてしまうんです。なので、作り方はより丁寧に考えたいという気持ちになりますね。
―たしかにしずく堂さんのデザインは、最後に綺麗に完成する印象があるので、今の話は納得しました。
では次に、作品作りでの楽しみや苦労されていることについて教えてください。
楽しみは、好きな色などを組み合わせている時です。自分が欲しいものや、使いたいものができた時はすごく楽しいです。
苦労している点といえば、編みごたえと編みやすさのバランスです。シンプルなものは実用的なはずなんですけど、沢山いろんなものを編んでいる経験がある人にとっては編みごたえが足りなくなってしまいますし、編みごたえのある作品は豪華になりすぎて、普段使いしづらくなってしまったり。自分は楽しくても周りから見るとどうなの?という作品になりやすいんです。そういった編みごたえと編みやすさ、使いやすさを両立させるのは気を遣うところですね。
基本的にはシンプルなものが好きなんですけど、そのままだと編みごたえが足りないので自分なりにワンポイント工夫したり、アクセント的なアイデアを入れるようにしています。
NHKテキスト『すてきにハンドメイド』で連載を二年間続けてきましたが、「一見シンプルだが理由があってこのデザイン」というのをテーマに作品デザインを心掛けました。
―将来の夢や目標などはありますか?
いろんなジャンルの作家さんがいるとは思うんですが、自分の中ではシンプルなものを分かりやすく作れる、愛される作品を作っていきたいなと思っています。ここは変えず、いろんな人に編み物を楽しんでもらえるようなことを続けていきたいと思っています。
―シンプルで編みやすい編み図は何年たっても流行関係なく残りますよね。
そうですね。あとはやはり楽しんでいただけるような作品を作りたいと思っています。
―オリムパスの素材についてはどのような印象がありますか?

以前から使っていたのはメイクメイクシリーズですね。カラフルな色のグラデーションが好きですし、発色もきれいなんです。メイクメイクはフェルト化もできたり、組み合わせていて楽しいです。作品の出来上がりの色やテクスチャーを変えることが出来るところが気に入っています。

エミーグランデ〈カラーズ〉は、10gの小さな玉でいくつも組み合わせることが出来るのがいいなと思っています。小さなモチーフをたくさん編むための糸って感じですね(笑)。愛用しています。
小巻なので、いろいろな糸を組み合わせて活用できるのが好きです。去年色が追加されて、しかもそれがニュアンスのある色で、パキッとした色だけではなくパステルカラーやスモーキーな色も入ってきて、それらがすべてツボだったのが良かったです!

カラフルなエコバッグは2022年の新色も含めてモチーフを組み合わせて作りました。大きい50g玉巻もあるので、〈カラーズ〉とともに使うことで糸を余らせることなく編めるので非常に楽しいです。
それから編み物のデザイナーとしては、かぎ針の2/0号で編めるのがいいです。
「レース」って聞くと、身構えてしまう人も多いと思うんですけど、「かぎ針の2/0号でも編めますよ」ってお伝えすると、皆さん「大丈夫かしら」と言いながらも眼鏡持参とかで編んでいけるので(笑)。

―しずく堂さんがNHKEテレ「すてきにハンドメイド」に出演されていたのを拝見しました。すごく可愛くて色使いがとてもステキな作品ばかりでした。
毛糸を使った作品が多いと思いますが、その中で弊社のエミーグランデを選ばれたのは、何かきっかけ等ありますか?
やはりいろんな色を使いたかったんです。初回は傘の持ち手を作ったんですけど、通常の手編み糸ですと糸が太いので、傘の持ち手のような小さなところだと模様が出しづらくなってしまって、目数も少なくなってしまうので細めの糸がいいなと思っていました。
細めの糸でもかぎ針編みの2/0号針で編めて、色の組み合わせを楽しめる上に無駄なく使えるということで選んだというのがきっかけです。
―エミーグランデがいちばん手に入りやすかったというのもあるのでしょうか?
はい。やはり富山の手芸店ではエミーグランデが一番手に入りやすくて、〈カラーズ〉も全部並んでいるような感じです。
―直接色味などを見て購入できる、というのがいいんですよね。
直接見て選んでいても、玉巻で見るのと編んで見るのとではちょっと違うなと思ったりすることもあります。
―読者へのメッセージや、活動の宣伝などあればお願いします。
コロナもだいぶ落ち着いてきたので、ワークショップも少しづつ緩やかに再開しつつあります。富山と金沢で定期的に開催するようにしていまして、その他に東京に行く用事がある時は東京でもするようにしています。お近くの方はぜひご参加ください。
ワークショップの開催情報はInstagramなどのSNSで告知しています。あとオンラインストアでは、ダウンロードできる編み図やキットなども販売していますので、オンラインショップも良ければご覧ください。
ゆっくりと落ち着いた口調で、丁寧にひとつひとつ言葉を選びながらインタビューに答えてくださったしずく堂さん。
丁寧で穏やかな雰囲気は、作品からも伝わってきます。
北欧デザインー特に色使いの面白さや素晴らしさを見つけ出し、作品作りに活かすことができる感性は、北陸地方の豊かな自然に囲まれて暮らす、しずく堂さんならではのものだと感じました。
今後のしずく堂さんの活躍も楽しみにしています!
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